クリンチナンバーの計算方法。
「2位クリンチナンバー」を例にして説明します。「優勝クリンチナンバー」の場合は計算対象が1チームずつに、「CSクリンチナンバー」の場合は計算対象が3チームの組になるだけで、大筋は一緒。
まず、2位クリンチナンバーとは何ぞ。
詳しくは前の記事を参照していただきたいのですが、「残り試合であと何勝すれば、シーズン2位以上が確定するか」という勝ち星の数のことです。
具体的な例があったほうが判り易いと思うので、適当に2010年8月22日のデータを使ってみます。
→ 2010年8月22日の順位表・各クリンチナンバーなどなどを参照する
さて、「自チームが2位以上を確定させるために必要な勝利数」は、言い換えると「自分以外の5チームのうち最強の2チームが最大限に頑張ったとしても、その2チームが同時に自分を上回れなくなるような自分の必要勝利数」ということですな。
うん、ややこしい。我慢して聞いてください。
2010年8月22日全試合終了時点の、ホークスの2位クリンチナンバーを求めてみます。
まず、ホークス以外の5チームを2チームずつのペアにしてみます。
{ L , M } , { L , F } , { L , B } , { L , E } ,…の10組できますね。
{ M , F } , { M , B } , { M , E } ,
{ F , B } , { F , E } ,
{ B , E }
次に、ホークスが残り試合で何勝するか仮定します。
続いて「ホークスが残り 22勝 5敗でシーズンをフィニッシュする場合の、各ペアの達成可能な最高成績」を求めます。
まずは { L , M } の組について計算してみましょう。計算の前提条件として、
- { L , M } は H との対戦では最大限に頑張って、H の足を引っ張る。
- L と M との間では協力し合って、互いに足を引っ張らずに2チーム揃って高成績を維持する。
- その他の対戦では、もうガムシャラに勝ちまくる。
…という、Hにとっては最も都合が悪く、{ L , M } にとっては最も好都合な展開を仮定します。
ということで、最初に H vs { L , M } の対戦成績を求めてみましょう。
- 条件(1)を考慮すると、{ L , M } は H から最大限の勝利を得る。
- H と L の残り対戦数 = 3
- H と M の残り対戦数 = 7
- Hの残り試合での最大負け数 = 5(と仮定していますね)
H vs { L , M } の対戦成績は判りましたが、H vs L , H vs M という個別の対戦成績が判らないことには L や M の最終成績が計算できません。それを求めます。
- L vs H (残り3試合):L の 0勝3敗。
- M vs H (残り7試合):M の 5勝2敗。
続いて、L , M それぞれと、H , L , M 以外のチームとの残り試合の対戦成績を求めます。
- L vs F , B , E (残り19試合):L の 19勝0敗。
- M vs F , B , E (残り17試合):M の 17勝0敗。
最後に、L vs M の対戦成績を求めなくてはなりません。
L がひとつ勝つと M にひとつ負けがついて M の成績が下がります。逆も然り。非常に悩ましいのですが、協力して「打倒 H」を目指さなくてはなりません。
- 一方に成績の余裕がある時は相手に負けてあげる。
- 余裕が無い方はなんとかして勝ちを分けてもらう。
が、今回は現時点で既に…
- H の最終成績: 84勝 56敗 4分:勝率 0.6000
- L の 対Mを除いた成績: 84勝 54敗 0分:勝率 0.6087:残り(対M)6試合
- M の 対Lを除いた成績: 82勝 54敗 2分:勝率 0.6029:残り(対M)6試合
この両チームは既に「協力して H の成績を上回る」という目標を達成しているわけですな。ということは、無駄に足を引っ張り合いたくないので、残りの直接対決6試合は全部引き分けておけば良いのです。
- L vs M (残り6試合):L の 0勝0敗6分。
結局、この例ではこういう結論。
つまり、ホークスが 2位を確定するためには 22勝では不充分。
すなわち、本日のホークスの2位クリンチナンバーは、少なくとも 23 以上である。
で、ホークス22勝でダメだったから、次は仮に 23勝した場合に同様の計算をして、上回れる組があったら次は 24勝すると仮定して計算して、上回れる組が現れなかったら「2位クリンチ = そのときの勝ち数」で計算終了…、という流れですね。
CSクリンチの場合は 3チームの組み合わせ、例えばホークスのCSクリンチナンバーを計算するときには、
{ L , M , F } , { L , M , B } , { L , M , E } ,
{ L , F , B } , { L , F , E } ,
{ L , B , E } ,
{ M , F , B } , { M , F , E } ,
{ M , B , E } ,
{ F , B , E }
…の10組について計算します。
「3チームが共に、対象チームを上回れる成績を目指す」ので、組内部での星のやり取りを計算するのが煩雑になりますが、基本は 2位クリンチの計算方法と同様です。
計算の結果、「残り試合に全勝すると仮定しても、どこかの組に上回られてしまう」ときには、「自力でその順位を確定させることが不可能」ということを表します。
いわゆる「自力CS進出の消滅」とか「自力優勝の消滅」とか、そういうことですね。
ということで。
→ 最速でパリーグの優勝の行方を計算するページ。
小薮健二
私の秘密の厳密式クリンチナンバー候補公式では西武は22、ソフトバンクは22+(1引き分けを表す)、ロッテは25+です。因みにVクリンチは西武26、ソフトバンクは26+、ロッテは28です。サッカー版も作りましたよ。