CSクリンチって何ぞ。
プロ野球界に突如現れた謎の指標 - CSクリンチ。
→ スポニチの記事「巨人CSクリンチ30、西武は快勝で27に」
どうも共同通信が開発した指標らしい。
→ スポーツナビの記事(配信は共同通信社)「CSクリンチを配信 統数研との共同研究」
この記事によると
CSクリンチは、各チームがCS進出まで何勝が必要かを示す数字。最小の勝数を求めるには残り試合の全パターンをシミュレーションする必要があり、これまでシステム的に困難だった。
<中略>
共同通信が昨年まで配信していた「クライマックスマジック」は、優勝へのマジックナンバーの考え方を基にしたもので、特定の条件下では最小の勝数にならないこともあった。
というものなんだと。
従来の「クライマックスマジック」の考え方だと、その数字は「3位以上が確定するまでに、あと何勝必要か」という数を、優勝マジックの計算方法を元に算出するわけですよ。
「優勝マジックの計算方法を元に」というのは、つまり「あるチームを自力で上回ることのできないチームが3チーム以上になった時点でCSマジックが点灯」→「3チーム以上が、当該チームを上回る可能性が完全に無くなった時点で、当該チームのCS進出が決定」ということでしょう。
今回の西武ライオンズを例にとってみると、西武以外の5チームのうち、いずれかの3チームが、たとえ残り試合を全勝したとしても西武を上回れなくなった時点で従来の「CSマジック」が点灯するわけです。
計算してみると、8月10日の試合終了時点で、西武以外の5球団全てに西武を上回る目が残っているのですな。つまり、まだ「CSマジック」は点灯していない。点灯するのは(つまり3チームに西武を上回る目がなくなるのは)早くて8月14日、その日に西武にCSマジック27が点灯する...という計算なのですが。
→ 拙作:最速で2010年パリーグの優勝の行方を計算するページ(β版)参照。
ちなみにこのページ、計算が正しいかどうか、まったく試していないので注意が必要です。今シーズン一杯、こっそり稼働させてみて、アルゴリズムの妥当性を検証しよっかな〜、という感じ。だからβ版。
とりあえず「自力優勝の消滅・復活」については正しく計算をしてくれているようなので、マジック予報も合ってるんじゃないかなぁ。実際にマジックが出てみないことには分からんなぁ。
で、「西武以外のいずれか3チームが、西武を上回れる可能性が全く無くなったとき」に、西武の3位以上が決定 = 西武のCS進出が決定...となりますね。
以上、CSマジックの計算方法。
で、CSクリンチ。
説明を読む限り、全ての勝敗パターンを当たって、最短のCS進出条件を求める - という力業のようですね。そしてウチの計算が正しいとすれば、CSマジックよりCSクリンチのほうが小さい数字が出ています。
「いずれかの3チーム全てが、自力で西武を上回る可能性がゼロになる」というのが、CS進出条件としては厳しい定義なのかなぁ。下位のチーム間でのちのち潰し合う可能性を考えれば、その条件が満たされなくてもCS進出は決定しそうだもんな。
...と、そういえば昨シーズン、セリーグのCSマジック計算で不具合がありましたね。Wikipediaの「マジックナンバー」の項の脚注を参照してみてください。このことがあったので、共同通信社は計算システムを改修したのかも。クリンチのほうが正しい数字を弾き出しそうです。
CSクリンチに、しばし注目です。
小薮健二
2009年はセントラルリーグは不祥事の集まりでした。巨人9引き分け中日1引き分けで対象チーム負けたのに減りが悪かったもあればクリンチナンバー計算したら巨人は9月9日は真のCSマジック1+、10日は対象チーム揃って負けて巨人勝ってやっと決めたという事件でしたね。