MLBでは、ひとつの試合でひとりの投手に『ホールド』と『敗戦』が同時につくことがある。

日々、MLBの小松式ドネーションランキングを計算しているのですが、日本時間04月03日付のランキング、1位・グレーブマン投手のスタッツを見て、あれっ、と思ったのです。

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登板3試合で、1勝1敗2ホールド。記録が登板数を上回っている。

これまで何の疑いもなく、

…であると思っていたので、記録が間違っているのか、計算プログラムが間違っているのか、そう考えて調べてみると、記録もプログラムも間違っていなかった。

なんと、

NPBとMLBでは『ホールド』の規定が異なり、MLBでは、ひとつの試合でひとりの投手に『ホールド』と『敗戦』が同時につくことがある。

…のだそうだ。

NPBでのホールドの規定は以下のとおり。

一方、MLBの規定は…

A hold occurs when a relief pitcher enters the game in a save situation and maintains his team's lead for the next relief pitcher, while recording at least one out. One of two conditions must be met for a pitcher to record a hold: 1) He enters with a lead of three runs or less and maintains that lead while recording at least one out. 2) He enters the game with the tying run on-deck, at the plate or on the bases, and records an out.

ホールドは、救援投手がセーブの場面で登板し、チームのリードを維持し、少なくとも1つのアウトを取った場合に記録される。投手がホールドを記録するためには、次の2つの条件のいずれかを満たす必要がある: 1) 3点以下のリードで試合に臨み、少なくとも1つのアウトを記録しながらそのリードを維持した場合。2) 同点に追いつかれた状態で試合に臨み、アウトを取った場合。

ここまでは MLB と NPB は一緒。しかし MLB には「走者を残して降板した場合は、その走者が後任投手によって得点し、タイ、又はビハインドになったら与えない」という規定が存在しないのです。

上記 MLB の解説ページには、丁寧にも以下のような説明が記されています。

It is also possible for a pitcher to receive a hold and a loss in the same game should he exit with the lead, only to see the runners he left on base score the tying and go-ahead runs.

投手がリードしたまま降板し、その投手が残した走者が同点や逆転の得点者となった場合、同じ試合でホールドと敗戦を記録する可能性もある。

要するに、例えばこんなシチュエーション:

  • 自チームが1点リードしている場面でリリーフ登板。
  • ひとつ以上のアウトを取ったものの、ふたりランナーを出したままイニング途中でリードを保ったまま降板。
  • 次に投げた投手が打たれ、その二人のランナーが生還 = 相手チームが逆転。
  • 相手チームがこの勝ち越しをキープしたまま試合終了。自チームは敗戦。

…この場合「走者を残して降板した場合は、その走者が後任投手によって得点し、タイ、又はビハインドになったら与えない」という規定の有無によって、

  • NPB … この投手に「負け」のみが付く。
  • MLB … この投手に「ホールド」と「負け」が付く。

という違いが生じるのですね。

またひとつ、賢くなった。

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