鳥居みゆき = 筒井康隆説。

鳥居みゆき(とりい・みゆき)
芸人。
1981年 秋田県生まれ。
インターネットTV「Gyao」、YouTubeやニコニコ動画へ投稿されたパフォーマンスが注目され「カルト系」「アングラ系」として一部に熱狂的な信者を持つ。
2007年終盤から地上波で目にする事も。裸足に白パジャマで『まさこ』というキャラクターをハイテンションで演じ切る。

筒井康隆(つつい・やすたか)
小説家。
1934年 大阪府生まれ。
1960年代からプロとして執筆活動。初期の作風は「通俗SF」「ドタバタ・スラップスティック」などとレッテルを貼られたりもした。1981年「虚人たち」で泉鏡花文学賞、1987年「夢の木坂分岐点」で谷崎潤一郎文学賞」、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年「朝のガスパール」で日本SF大賞を受賞。「時をかける少女」「富豪刑事」など映画、ドラマの原作も多数。現在も小説家、俳優として活躍中。

ということで。

鳥居みゆきである。
現在の鳥居みゆきの真骨頂は『まさこ』のキャラで臨むフリートークの素晴らしさに尽きる、と思う。『まさこのショートコント』のインパクトも絶大なんだが、よく見るとオチの大部分は単なる駄洒落。『まさこ』キャラ以外で普通のシュールなコントを演じたりしているものの、破壊力はいまいち。やはり『まさこ』のキャラクター設定が秀逸なのだ。

『まさこ』の、いや鳥居みゆきの凄さを実感するには、まずココ。

→★パソコンテレビGyao [ギャオ]
ここで「カンニングの恋愛中毒 #70」と「鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ」を見てみよう。Gyaoトップページで「鳥居みゆき」を検索すれば出てくる。
さぁ、今スグ。

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はい、あっという間の1時間半でしたね。

終始、鳥居のペース。
終始、支離滅裂。コトバが伝わっていない訳じゃない。相手のコトバが『まさこ』フィルターを通って出力されると、なんだか微妙にズレた答えが返される。そのフィルターの仕様が、こちら側には全く想像できない。
相手が話題に乗ってきたら見事にスカす。
自分語りも、どこまでが真実でどこからが『まさこ』なのか、全く判らない。
目力(めぢから)が異常。
笑いと同時に感じられる、恐怖。

素晴らしすぎる。

で。

筒井康隆。
作者の狂気が垣間見える初期の作品群が大好きなんだが、ニヤリとされられながら、同時に作品から伝わってくるリアルな恐怖 ...
この時期の筒井作品には「日常生活の隅っこにひっそりと隠れている『非日常』の穴に、主人公がはまり込み、その『非日常という穴』がどんどん拡大して逃れられなくなる」ってパターンがある。その「非日常から逃れられない理由」のひとつが、「相手とコミュニケーションが取れない」ってことなんだよね。

コトバは通じるが、意図は伝わらない。

例えば。
こちらの意図が全く伝わらず、何を考えているのか判らない相撲取りに追いかけられる恐怖 ...『走る取的』
切符をなくしたばかりに、駅員に理不尽な扱いを受ける恐怖 ...『乗越駅の刑罰』
イデオロギーに凝り固まった女性たちから受ける恐怖 ...『懲戒の部屋』

→★懲戒の部屋―自選ホラー傑作集〈1〉 (新潮文庫)

そして、
思考回路が人類と全く異なる異星人との共同生活『最悪の接触 ワースト・コンタクト』

→★傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫)

な。
コトバは通じるが、意図は伝わらない。
鳥居『まさこ』は、筒井作品の主人公が作品中で味わう恐怖・おかしさを俺たちにリアルで体験させてくれる、とっても素敵な存在だという訳ですよ。

鳥居『まさこ』=筒井康隆なのであった。

うん。すばらしい論理展開w

でもさ、鳥居さんは今後どういう方向に向かうのだろう?
このまま『まさこ』キャラで地上波露出を増やしていくのか?
例えば「さんま御殿」に出るとすると、素の鳥居みゆきでトークをするのか、『まさこ』でいくのか。それ以前にトーク番組の出演オファーを受けるのか受けないのか。
案外、美形だけど個性派女優、とかそっち方面へ行ってしまうか。

しばらく注目。ひっとえんどら〜ん♪


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