2勝2敗で第5戦を迎えたケースは昨季まで22度。そのうち15度で第5戦を制したチームが日本一になっている。過去のデータからみると、ソフトバンクの優勝確率は約68%となる。
ものすごい条件絞り込みをしてくれています。「2勝2敗で来た場合」「第5戦に勝つと」優勝実績は68%ということですね。この手の「優勝確率」「優勝可能性」の記事に、昔からなんだか違和感があったので書いてみる。
この「ここまで2勝2敗で」「次の試合に勝つと」などという条件は、優勝確率を出す上であまり意味が無いのです。大事なのは「今現在、何勝何敗であるか」、それのみ。
ニッカンスポーツが「日本シリーズ 過去の星取表」という便利なページを作ってくれているので、ちょっとこれを眺めてみると、たとえばこんな数字も出せます。
3勝1敗で第5戦を迎えたケースは昨季まで16度。そのうち12度で第5戦に敗れたチームが日本一になっている。第5戦に敗れたチームの優勝実績は75%となる。
もっと単純に、こんなのは?3勝2敗で第6戦を迎えたケースは昨季まで39度。そのうち28度で3勝を挙げていたチームが日本一になっている。5戦目までに3勝を挙げたチームの優勝実績は約72%となる。
最初の記事だけ見ると「第5戦に勝つ事」がさも重要なことのように錯覚してしまうけれど、そうではなくて、「5戦終わって何勝何敗か」ということだけに意味がある。みっつめの例のように「それまでの勝ち負けの順番を考えない」場合も、前ふたつのように「ある勝敗パターン限定」の場合でも、5戦目を終わって3勝2敗の場合、勝ち越しているチームが優勝する過去の実績は大体7割くらいですね。
理論値を計算してみましょう。
5戦目が終わってHの3勝2敗、残りは2試合です。対戦する両チーム(HとD)の実力が等しいとすれば、次の試合にHが勝つ確率・Dが勝つ確率は共に50%。つまり
- 6戦目にHが勝って優勝を決める確率 … 50%。
- 6戦目にDが勝って7戦目突入の確率 … 50%。
- 7戦目にHが勝って優勝を決める確率 … 50%。
- 7戦目にDが勝って逆転優勝を決める確率 … 50%。
- 6戦目でHが優勝する確率 … 50%
- 7戦目でHが優勝する確率 … 50%の50% = 25%
- Hが優勝を逃す確率 … 50%の50% = 25%
過去の日本シリーズの実績も、サンプル数は少ないながら、かなり良い具合に理論値に近い値となっていますね。とりあえず「敵地で連勝した勢い」だとか「守護神が打ち崩されたショック」だとか、そういうものを考えに入れても入れなくても、結果はだいたい確率論に従っている、と。
過去の星取表とにらめっこしなくても、どちらのチームがどのくらい有利かは、確率計算すればだいたい実績と似たような結果が出るというわけですな。
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と、ここまで書いてきたのですが、星が五分五分の場合を考えたら、「その試合までの勝敗パターン」が「その後の行方」を見る上で無意味なことが一目瞭然だということに気が付いた。
例えば 4戦が終わって2勝2敗のとき。片方のチームが「2勝1敗から負けて2勝2敗」になったならば、もう一方のチームは必ず「1勝2敗から勝って2勝2敗」になっています。どちらかのチームが必ず優勝するわけなので、
1勝2敗から第4戦を制して2勝2敗になろうが、2勝1敗から第4戦に敗れて2勝2敗になろうが、日本一になる確率はぴったり50%。
もちろん理論値も、第4戦を終わって2勝2敗の場合、優勝する可能性はどちらのチームも50%。
ですね。
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