アメリカでの和田毅の評価が割れていて面白い。

PC版へ 2011年11月23日
FA移籍の話題が旬な季節になってまいりました。ホークスからMLBへ移籍確実…と噂される和田さんですが、向こうでの評価が真っ二つに割れていて面白い。

まずは割と好意的なコメント。いつもながらの適当翻訳とともにどうぞ。

米Yahoo! スポーツの2011-12オフシーズン・フリーエージェント選手ランキングでは、和田毅、第30位にランクされています。添えられたコメントは…
The most successful Japanese left-handers in the major leagues have been Hideki Okajima, Hisanori Takahashi and Kaz Ishii. Wada, a free agent, would like to change that.

メジャーで成功した日本人左腕と言えば岡島秀樹、高橋尚成、石井一久だったが、和田はそれを変えたいと思っている。
Fangraphsに掲載された記事(ただし2010年に書かれたもの)では、和田はMLBの完全試合男ダラス・ブレイデンのようだ、という素晴らしい評価。
Wada reminds me of Dallas Braden (or rather, Braden reminds me of Wada), with his arsenal of a 86-87 mph fastball, a good circle change, and a solid slider. To use a cliche, Wada knows how to pitch. He’s had a strikeout rate in the 7-8 for most of his career despite a fastball that’s average even in NPB.

和田の武器である130キロ代後半の速球と良いチェンジアップ、素晴らしいスライダーは、ダラス・ブレイデンを思い起こさせる。ありきたりな言葉で表現するならば「彼はピッチングを知っている」。球速は日本に於いても平均的ながら、一試合あたり7〜8個の三振を奪っている。
この記事と同じライターさんがNPBTRACKER.comでこんな事も書いている。
Wada isn’t going to blow anyone away with his fastball, but he mixes a slider and a changeup and has solid command. My concern about Wada is whether he’ll be able to handle a full complement of innings in an MLB rotation. Japanese starters have had a tendency to regress on innings pitched after migrating to MLB;

和田は速球でガンガン来るタイプではないが、スライダー、チェンジアップと素晴らしいコントロールを交えて投げる。心配なのは、彼がメジャーでシーズンを通してローテーションを全うできるかどうか。日本の先発投手がメジャーに来ると、投球イニング数が減少する傾向にある。
そしてCBS SportsのFA投手ランキングでは60位にランクイン。黒田・岩隈よりだいぶ下、岡島よりちょっと上、という低めの評価。

で、一部で物議をかもした ESPN電子版の記事。和田さんは「獲得を避けるべきFA投手リスト」の第2位にランキングされています。元記事はESPNの有料会員にならないと読めないっぽいけれど、なぜかモバイル版サイトで閲覧できます。
Speaking of below-average fastballs, that class of pitcher is even scarier when he has zero major league experience, and given the mixed track record of pitchers coming from NPB, Wada doesn't project as more than a fifth starter in the U.S., if that. He sits in the mid-80s and is going to be far more homer-prone here than he was in NPB (allowing just seven home runs in 184 innings in 2011). I'd rather roll the dice on a wilder but harder-throwing import than a low-upside arm like Wada.

平均以下の球速について言えば、メジャー経験が無いこのクラスの投手はかなりおっかない。日本での成績を見ると、アメリカでは5人目の先発投手以上ではない。彼の球は130キロ台後半で、アメリカでは日本よりも多くのホームランを打たれるのではないか。私なら和田のようなタイプより、豪腕系のピッチャーを獲得するほうに賭ける。
うん、なかなか酷い言われよう。確かに球速だとか残してきた数字だけを見ると、こういう厳しい評価になってしまうのかもしれない。

しかし。

和田毅というのは不思議なピッチャーで、もう長いことホークスの試合を見ているけれど、あの球速で何故あんなに三振を奪うことができるのか、何故抑え切ることができるのか、さっぱり分からないのですよ。「球速」という物差しだけでは測れないものがあるのです。最初の引用記事の「彼は投球術を知っている」という言葉は、和田のピッチングを正当に評価するための、かなり良いポイントを突いているような気がします。

それにアメリカの記者さんたちは、和田が極々たま〜にリリーフ登板したときの、先発時とは全く違ったパフォーマンスを知らないでしょ、多分。例えば2010年のCSファイナルステージ最終戦のときだとか。短いイニングだったら、速球でガンガン押してゆく感じのピッチングだってするのです。

ということで、めでたくMLB移籍が実現したならば、
あるいは
と、いずれにしても成功組になりそうな気がするのだけれど、どうだろう。

関連記事

<<前の記事 | HOME | 次の記事>>

コメント

現在、コメント機能は停止しています。