日本の曲をレゲエでカバー…という、ありがちなコンセプトのアルバムですが、そこはスライ&ロビー。ラヴァーズ風に甘ったるく料理されているわけではなく、いわゆる「今風のレゲエ」でもない。20年くらい前に良く聴いた、現在40歳前後の人が「レゲエ」と聞けば真っ先に思い浮かべるであろう「あの音」が聴こえてきます。
若い頃に染み付いた音に対しては、幾つになっても反応してしまうのな。
そしてこのアルバム、誰が考えたのだか知らないが選曲がなかなか良い。奇を衒っているようでもあり、レゲエアレンジにマッチするような曲を厳選したようでもあり、まぁ良く考えられています。『千の風になって』などは、もう最初からレゲエアーティストが書き下ろした曲なんじゃないかというような見事な出来映え。さだまさしの『北の国から』をレゲエで、しかもリードギターに「エレキの神様」寺内タケシを起用…という、一歩間違えれば混沌の世界に堕ちてゆきそうな企画を手堅くまとめているのも流石、職人芸ですわ。
2011年の流行りに乗っかってみた『マル・マル・モリ・モリ!』だけが余分なトラックだな、こりゃ。
というわけで、あの頃のレゲエ好きにとっては聴いておいて損はないアルバムなのでした。
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