前回の記事の続き。
「怪異の体験者からの取材を基に話を記す」という実話系怪談とはすこしテイストの異なる作品たち。
まずは、これ。
これは、怪談社(糸柳寿昭ら)が行う「怪異が起こった現場の取材」の模様を福澤徹三が書きしるす…という、ルポルタージュというかドキュメントというか、そういった味わいが加わった作品。なかなか面白いかたちです。
続いて、こちらもドキュメントの色合いが加味された作品。
これらの一連の作品は、"福岡県のとある地域で過去に起こった凄惨な事件に纏わる怪異が現代にも連なっていて、それを調べていた著者たちがそこに巻き込まれて云々…" という、わたくし福岡民にとってはなかなかそそる内容です。身近な地名が山ほど出てきて、具体的な風景が浮かびやすいのですね。
まるで伝奇小説を読んでいる感覚で、ここまで来ると事実(実話)だとか創作だとか、もうどうでも良くなってきます。面白ければ良いじゃない。
余談ですが、福岡民であれば「北九州」と言われて思い浮かぶのは「北九州市またはその周辺地域」です。「九州地方の北のほう」を指して「北九州」と言われるのにはかなりの違和感や戸惑いを感じます。「九州地方の北のほう」を表現したい時には「北部九州」と言ってほしいな。著者の菱井十拳は北九州在住のようで、この辺りがきっちり区別されているので戸惑わずに済むのです。
実話だろうが創作だろうが面白ければ良いじゃない、といえばこちらも。「拝み屋」を生業とする郷内心瞳の作品たち。
2013年の作家デビュー以来、ちょっと驚く量の作品を著しています。Kindleストアの著者ページでチェックしてみてください。「拝み屋」という彼の職業を活かした、大ネタ小ネタを織り交ぜながらの一大恐怖エンターテインメント。好みに合えば楽しめること間違いなし。
ということで、寝苦しい夜のお供に。
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