ALTERNATIVE 3:第三の選択。

PC版へ 2008年12月15日
伝説の似非ドキュメンタリー『第三の選択』です。
矢追純一UFO現地取材シリーズ』DVD化記念! ということで、この伝説の番組を久しぶりに見直してみた。
見たのは「木スペ」版ではなく、後にビデオパッケージでも発売されていたオリジナル版の方ね。
★以前のエントリーで「DVD化はされないのだろうか」と書きましたが、本国イギリスでは昨年、制作30周年を記念してめでたくDVD化されていました。大英帝国のAmazonで売られているので、物好きな方はどうぞ。→ Amazon.co.uk
まずは基本情報から。

この『第三の選択』、1970年代後半にイギリス・アングリアTVが制作していた『Science Report』というシリーズの中の1エピソード。本国での放映日時は1977年6月20日。
で、この番組が日本でブレイクしたのは1982年1月21日の日本テレビ系『木曜スペシャル UFOと米ソ宇宙開発の陰謀!人類火星移送計画が極秘裡にすすめられている!?』で矢追純一があたかも「ウソ番組ではないかのような」演出でお茶の間に紹介したからなのですなぁ。
★この『木スペ』とは別に、フジテレビでも放送があったようです。
 ただし放映日に関しては「1978年(注1)」「1983年4月1日(注2)」「1991年8月28日(注3)」と情報が乱れ飛んでいてよく判らない。もしかしたら2度3度と再放送されたのかもしれぬ。
注1:『トンデモ本の逆襲』宝島社文庫2000年版349ページ。ちなみにこの本では「木スペ以前、イギリスでの放映翌年にフジテレビで放映された」と書かれている。
注2googleで検索すると上位にヒットする。しかし「木スペより前に1983年4月1日に放映された」という記述は完全に矛盾している。だって「木スペ」放映日は確実に1982年1月21日なのだから。[2008.12.26追記:この日の放送はありませんでした。当時の新聞のテレビ欄で確認]
注3Wikipedia(笑)による。出典不明。[2008.12.26追記:この日の深夜、確かにフジテレビで放送があった事を確認しました。]

内容は、
★別件で取材対象としていた科学者たちが謎の失踪を遂げる。
★高名な電波天文学者が「謎のビデオテープ」を残して不審な事故死。
★そのテープの謎を知る人物から連絡が。→ 人物失踪。
そして、
★最近(1977年時点)の世界中で起きている異常気象の紹介。
★大気汚染・温室効果ガスが増加した結果「地球寒冷化」が懸念される。
★それに対処すべく開かれた国際会議で「Alternative 3(第三の選択)」、すなわち人類が災厄を回避するための「3つめの方法」が討議された。「第三の選択」とは何か?
更に取材を進める。
★アポロ計画に参加した宇宙飛行士ボブ・グローディンにインタビュー。「アポロの前に、月面には誰かが到達していた」という衝撃の発言。
★宇宙開発を巡る米ソの不可解な協力関係が示唆される。
★米ソが秘密裏に「人類を火星に移住させるプロジェクト」を進めているのではないか。
遂に...
★「謎のビデオテープ」の解析に成功。そこには「1962年に、米ソが協力して打ち上げた火星探査機からの映像」が映っていた!
★「第三の選択」とは、人類の火星移住計画の事だったのだ。

...ということなのですが、いやいや実に良く出来ている。当時世界中が騙されたのも無理はない。この番組、「NASAの管制室やアポロ月面活動の実際のフィルムを流しながら、それにウソの交信記録の音声を被せる」などという酷い事をやっているのですが、当時はそんな事に気付くわけもなく。
そして番組内で紹介される「世界各地で起きている異常気象」は全て実際に起きた出来事。さらにフィクション部分(関係者への取材ビデオや火星探査機からの映像など)が上手くできているんだよなぁ。

今だったら、ちょっとネットで検索すれば「アポロ計画はおろか、NASAの宇宙飛行士に"Bob Grodin"なんて人物は居た事がない」ってすぐ判るのですが、当時はよっぽど暇な人でないと調べるのは困難だったろう。

今回、ほぼ25年振りに『第三の選択』を見直して思ったこと。

「権威」を盲目的に信用するな。

そして

「大干ばつ」「記録的な猛暑・寒波」「大地震」「大噴火」などは30年前でも現在でも毎年普通に起きている。過剰反応して大騒ぎするのは如何なものか。

ということですか。

ちなみに、ガキの頃に見た時に一番印象的だったのはこのシーン↓。マジで衝撃を受けた。

「月の表側における米ソの月探査機の着陸地点はこうなっていますが...」

「裏側では一カ所に集まっています。これは偶然でしょうか」

...偶然も何も、今となっては大ウソです(笑)。

そして25年後、今回いちばん印象に残ったのはこのシーン。

"元・宇宙飛行士"ボブ・グローディンのお世話をしているオネェちゃんの巨乳。

...さてさて、この『第三の選択』本編終了後、エンドロールの最初に「April 1st 1977」の文字が出て、配役表がスクロールしていきます。「配役表」が存在する時点で純粋なドキュメンタリーじゃないことは一目瞭然なのですが、「木スペ」で放送された時にはエンドロールは無かった筈。で、みんな騙された訳。矢追さんも罪なことをします。


個人的に気になっていた「『第三の選択』の音楽は、かのブライアン・イーノが担当している」ということも、スタッフロールで確認できました。


っつ〜か、うちに1枚だけあるイーノのアルバムに収録されていた。

 Music for Films / Brian Eno

  → タワーレコード
  → Amazon.co.jp
  → 試聴あり

このアルバムの9曲目『Alternative 3』がその曲。

ということで。

もし実家に、当時録画した『木曜スペシャル 米ソ宇宙開発の陰謀』が無事に残っていたら、それも見直してみよう。正月休みを待て。


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