巷では「借金7から優勝した例は過去に無い」と騒がれ、FAで移籍してきた主砲は借りてきた猫のように大人しく、昨年度パ・リーグ最多勝投手は勝たず、新外国人選手はバットに当てたと思ったらゴロばかり。遂には球団会長が早くも「(ジャイアンツのことは)来年聞いてくれ、来年」などと言い出す始末。
チームを率いる原辰徳さんも、さぞや心労が重なっていることと思います。彼と同じチームで戦うことを熱望している甥っ子に「ごめんな、俺、たぶん来年は…」などと弱気な電話のひとつも掛けたくなっているかもしれません。
なかなか結果が出ていないこんな時期に読むと、これはもしかしてこの日のために周到に準備されたネタなのではないかとも思えるような本を発見したのでご紹介。
長年にわたり日本一の人気球団の監督を務め、リーグ優勝は4回、日本一には2度輝き、2009年に行われた第2回WBCでは日本を二連覇へと導いた名将・原辰徳の珠玉の言葉たち。
書店で見つけて思わず手に取ってみると、本の帯にはこう書いてある。
「負け組」から脱却するために、リーダーが知っておくべき金言集
この本、ジャンル的にはビジネス書 / リーダー論なのだな。そして、原辰徳が悩めるリーダーたちに贈る金言は、例えばこんなの。「これだけのメンバーに対して、僕が何をすればいいか。選手を動かす必要はないでしょう。気持ちよくやってもらえることを配慮すればいい」
部下を信頼して、すべてを任せよう…というわけですな。そういえば先日、前・中日監督の落合さんも「ジャイアンツはタツが寝てれば勝てる」などと言ったとか言わないとか。いや、それはちょっと意味が違うのか?もうすこし引用してみます。
「実力最優先主義がチームの輪をつくる」
うんうん、その通り。過去の実績より現在の実力。いいこと言う。「与えられた戦力で戦うのが監督、コーチ、選手全体のスタイル」
大型補強、緊急補強なんて要らない。無い物ねだりをしても仕方がないのです。今在るものを活用して最高の結果を導きだすのがプロフェッショナルというものなのだな。う〜ん。
この本を読んでみると、原さんは今、自分の理想とするチーム運営 / チーム編成 / 理想の野球が全くできていないのかもしれないなぁ…などと考えてしまいます。それはフロントの所為? はたまたコーチや選手の所為?
でも原辰徳は、誰かの所為にしようなどとは考えない。
「(敗軍の将は)兵を語らずです」
素晴らしい。心の底から「あぁ、こんな上司だったら部下も働き甲斐があるなぁ」と思います。責任を負ってくれる上司。正に理想。ああ上司に恵まれたい…。
このままチームが上向かなくても、原さんは何ひとつ言い訳をせずに静かに去ってゆくのでしょう。
最後にもうひとつ。
「敗北はより強くなるために必要不可欠な過程」
その通り。まだまだシーズンは120試合以上も残っているのです。この20試合で学んだことを教訓に、ここから巻き返して、セ・リーグを面白くしてほしいのです。まぁ外野から見ている私にとっては、現状のままでも非常に面白いっちゃあ面白いのですが。
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