ウェブブラウザのキャッシュと著作権法。

PC版へ 2011年08月29日
 さて、前回の「動画サイトから動画をダウンロードする行為」すべてが違法なわけではないのですよ。という記事で、こんな事を書きました。
著作権法を素直に読むと、次の行為はアウト
動画を閲覧した際にHDDに保存される動画のキャッシュを、後からオフラインで視聴すること。または、キャッシュを他の場所にコピーして永続的に保存すること。

 著作権法を素直に読んでみましょう。ウェブブラウジングのときのキャッシュが「複製」にあたるのかどうかを規定している部分。
第四十七条の八 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

例によって判りづらいので読み下すと、
パソコン上でのウェブブラウジングなどの場合、表示の円滑化・効率化のためにローカルにキャッシュを作っても良いよ。ただし元々の著作物が著作権を侵害していない場合に限る。
ということですね。キャッシュは「複製物」とは看做されず、権利者の複製権を侵害することには当たらない、と理解できます。

ただし、次の条文。
第四十九条 次に掲げる者は、第二十一条の複製を行つたものとみなす。

 七 第四十七条の八の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を、当該著作物の同条に規定する複製物の使用に代えて使用し、又は当該著作物に係る同条に規定する送信の受信(当該送信が受信者からの求めに応じ自動的に行われるものである場合にあつては、当該送信の受信又はこれに準ずるものとして政令で定める行為)をしないで使用して、当該著作物を利用した者
 ええと、
キャッシュはキャッシュとして利用されるぶんには構わないけれど、それを元の著作物の代わりとして使ったり、オフライン状態でキャッシュのみを使ったブラウズをしたら「複製」を行ったとみなしますよ。

 と、読めますね。オフラインブラウズ、ダメなんだ。わはは。知るかよ!ってな感じですが。

 さて。

 YouTubeで動画を閲覧すると、再生を滑らかに行うために動画のキャッシュが作成されます。動画はブラウザなりプラグインなりのキャッシュフォルダに(一時的に)保存されるわけですね。
 ちなみに、ですが。
 flvフォーマットの動画のキャッシュは、最近のMac + 最近のFlashプラグイン…という組み合わせの場合、
    /private/var/tmp/folders.501/TemporaryItems/
に、FlashTmp0 などというファイル名で一時保存されます。

 フラッシュビデオ形式以外の動画ファイルは、各ブラウザのキャッシュフォルダに一時保存されます。
 通常、キャッシュフォルダ内のフォルダ名やファイル名はランダムな英数字の文字列になるので、中身を確認することは困難です。どうしてもキャッシュの中身を確認したい時は、Firefox だったら「CacheViewerアドオン」という便利なツールもありますね。
キャッシュフォルダから当該の動画キャッシュを救い出して別の場所に保存…すると、上記・著作権法第四十九条の七に照らせば、無断で複製をおこなったと看做されて怒られる…ことになるよね?

 よくわからんなぁ。

 とりあえず、節度を持って、楽しい動画ライフをおくりましょう。

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