流石に選曲の意外性だとか、アルバムコンセプトのアイディアだとか、そういったものは底をついてしまっているようで、最近は正攻法で押してくる作品が多いような気がします。
このアルバムも正統派。
アレンジはギター中心のアコースティックな感じ。ヴォーカルは、ボサノヴァ・シンガー、というよりもジャズ・ボーカリストといった趣きの、ブラジル出身パリ在住のCatiaさん。八代亜紀ばりの、素晴らしいハスキーボイスの持ち主です。
選曲は80年代辺りからこっちのJ-POPの名曲から。「Bossaカバーアルバムには必ずスピッツの楽曲が収録されている」という あるあるネタ が存在するのですが、この『恋BOSSA』にもちゃんと『チェリー』が入っています。
で、他には AKB48 の『会いたかった』も収録されているのだけれど、これがねー。
AKBあたりの曲って、ぶっちゃけ、"若さ"、"ノリ"、"スピード感"、"ビジュアル"、"キャッチーな歌詞" …と、まぁそういった要素が成分の8割がたを占めていると思うのだけれど、このアルバムのBossaバージョンは、それらが何ひとつ無いわけですよ。
若さも無いし、スビード感もノリも無い。歌詞はポルトガル語だし、ビジュアルも無いし握手券も付いていない。
でもこれが意外と良い。普通に良質のBossa Novaとして成立しています。
ボーカルのCatiaさんの実力の所為なのか、アレンジワークが見事なのか、それとも原曲の楽曲構成やメロディが秀逸なのか判らんが、なかなかのものです。AKB48楽曲のオトナアレンジ、果たしてどの客層に需要があるのか…という疑問は、この際、端っこに置いておきましょう。
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