福岡市内の競馬場。番外編。

 さて前回、「大正から昭和初期にかけて、福岡市内・高宮辺りに競馬場があったのだなぁ」ということを書きました。その高宮競馬場が閉鎖された後に、今のJR春日駅前あたりに開設されたのが春日原競馬場。この春日原競馬場はかなりの規模と設備が整っていたらしく、いろいろな資料に登場します。

 例えば、昭和十四年に福岡協和会から発行された『筑前博多』という本。福岡・博多とその近郊のガイドブックといった趣きの冊子です。ちょっと引用してみる。
 九鐵、というのは現在の西鉄天神大牟田線です。沿線各駅の見どころを紹介したセクションからの引用。文中の「大グラウンド」というのは、現在のJR春日駅と西鉄春日原駅に挟まれた場所にあって、以前調べた春日原球場もこの大運動公園の中にありました。
 九鐵・春日原駅を降りて西側に出るとすぐ「大グラウンド」があって、そのまま進んで省線(国鉄)の線路を渡ると「大競馬場」がある、という位置関係ですね。

 さて、この『筑前博多』という本、とても読み易い、味のある文章で綴られています。ところどころにユーモアのセンスも感じられて、読んでいてまったく飽きることがありません。
 またちょっと引用してみる。
 どうよ、このステキな文章。
 昭和初期の東中洲のカフエーに是非とも寄ってみたくなるような、この文章の素晴らしさ。観光ガイドブックとしては出色の出来映えだと思うのですが、如何でしょう。全編引用したいという欲求にかられてしまいます。
 
 わたくしも常々、このやうな読み易く調子よい文章を紡ぎたく思つて居るのです。しかし仲々考へるやうには綴れぬのですね。痒さを覺えます。日本語の奥深さ、或は難しさの所為でせうか。

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